補足:プジョーのサスペンションについて
プジョーは、MAZDA3の発表時に物議を醸しだしたトーションビーム式のサスペンションを装備していますが、批判されない理由は何なんでしょう?
調べてみました。
少し前の記事から引用という形にさせてもらいますが、根本的には変わってないようです。
(1) 十分なストローク量
(2) 大径のショックアブソーバ
(3) 左右リンク剛性の低下
(4) トーアウトへの対策
では,以下に説明いたします。
●十分なストローク量
通常,リア・サスペンションのストローク量は200~220mmくらいです。プジョーのトーションビームは270mmも確保しています。これは量産の乗用車(セダンタイプ)では,最大級ではないでしょうか。
ストロークが大きくなれば,路面凹凸に対して接地確率が増えます。
●大径のショックアブソーバ
ショックアブソーバのピストン直径は通常,25~32mmくらいです。プジョーは36mmをつかっています。
ピストン径が大きいほど,受圧面積が増え,作動油量がふえますので,ピストン内部のピーク圧力が低下します。
●左右輪のリンク
トーションビームの剛性はあまりつかわず,アンチロールバーのねじれ剛性をつかっています。これにより左右輪の上下差に対して柔らかでリニアな動きを実現しています。
このストローク量確保と大径ショックアブと柔らかな左右輪結合により,「猫足」を実現しています。しかしこれではトーションビームの特長であるトー変化量低減がうまくいきません。
●トーアウトへの対策
トーションビームの取り付け点は,通常,車両の左右方向に平行しています。しかし左右の結合が緩い構造では,後輪に横力が入ったとき,トーアウトになります。このため車体への取り付け点は,「逆ハの字(=車両前側がひらくでセミトレの逆)」のリンクをつかい,トー変化を抑えています。
しかしこれをつかうと,左右で平行なリンクになりません。このため取り付け点のブッシュを大きくし,三次元的な動きを許容しています。